親が認知症になったら、実家は売れません!!(家族信託が間に合う"期限"の話)
2026年10月21日 10:21
浦安の皆さま、こんにちは。浦安くらしサポートの南本です。
最初に、結論から言います。
「親が認知症になったら、その実家は、原則として売れません。」
息子さんでも、娘さんでも、です。
「親の家なんだから、子どもが手続きすればいい」。そう思っている方が、本当に多い。でも、それは通りません。
今日は、浦安で実際によくあるご相談をもとに、「なぜ売れないのか」「いつまでなら間に合うのか」を、はっきりお伝えします。
■浦安の家には、家族の歴史が詰まっている
私は浦安という街が大好きです。
漁師町の面影が残る元町。埋め立てとともに暮らしが広がった中町、新町。ベイエリアの風を感じる、この街ならではの景色があります。その街で、皆さんのご両親は家を建て、マンションを買い、子どもを育ててこられました。浦安の家は、ただの不動産ではありません。家族の歴史そのものです。
だからこそ、言わせてください。
その大切な家が、ある日突然「動かせない財産」になる。これは、浦安でも決して他人事ではありません。
■数字で見る「他人事ではない」理由
厚生労働省の研究班の推計では、
年 認知症の高齢者 高齢者に占める割合
2025年 約472万人 12.9%
2030年 約523万人 14.2%
2040年 約584万人 14.9%
さらに、その手前の段階である軽度認知障害(MCI)の方が、2025年で約564万人。
両方を合わせると、高齢者のおよそ3.5人に1人です。
「うちの親はまだしっかりしているから」。その「まだ」が、いつまで続くかは、誰にもわかりません。
■なぜ、認知症になると実家が売れないのか
理由は、シンプルです。
家を売るのは「契約」だから。
契約には、本人が「何を、いくらで、誰に売るのか」を理解して、自分で決める力が必要です。法律の世界では、これを意思能力(いしのうりょく)と呼びます。
実際の売買では、名義を変える手続きを担当する司法書士が、ご本人と直接会って確認します。場合によっては、医師の診断書や、長谷川式と呼ばれる認知機能検査の結果を求められることもあります。
ここで「ご本人の意思が確認できません」となれば、取引はストップです。
※南本の一言
「子どもが代わりにハンコを押せばいい」は、通りません。それをやれば、契約が無効になるだけでなく、家族が大きなトラブルを抱えることになります。認知症になってしまうと、ご子息が浦安の不動産(マンションや戸建て)に引っ越してきてすまない限り、有効活用はできないわけです。
【事例1】元町のAさん―「売れると思っていた家が、売れなかった」
※よくあるご相談をもとにした架空の事例です。
元町に住むAさん(50代・男性)。お父さま(80代)は元町の一戸建てでひとり暮らしをしていました。ある冬、お父さまが自宅で転倒。入院をきっかけに、物忘れが一気に進みました。退院後は自宅に戻れず、施設に入ることに。
Aさんは考えました。「施設の費用は、実家を売ってまかなえばいい」
不動産会社に相談し、買い手も見つかりました。ところが、決済の直前、司法書士との面談でストップがかかります。お父さまは、自分の家を売ることの意味を理解できる状態ではありませんでした。
残された道は、成年後見制度です。
・家庭裁判所に申し立てて、後見人を選んでもらう(数か月かかることも)
・後見人が決まっても、住んでいた家を売るには、さらに家庭裁判所の許可が必要
・許可を得ずに売れば、その売却は無効
・専門家が後見人になれば、報酬がかかり続ける
その間も、施設の費用は毎月かかります。Aさんは、自分の貯金を取り崩すしかありませんでした。
※南本の一言
Aさんが悪かったわけではありません。ただ、理屈を「知らなかった」だけです。それだけです。そして、知らなかった代償はとても大きいわけです。時間とお金で払うことになります。家族会議を一度やってください。まだ判断能力があるうちに、資産をどう継承するのか?を話し合ってください。決して死後の遺産分割等の話ではないです。スムーズに次世代に引き継いでいただく話なんです。ちなみに、家庭裁判所の許可が必要な「住まい」には、施設に入る前に住んでいた家も含まれます。「もう住んでいないから大丈夫」は、通りません。
【事例2】新町のBさん―「母が元気なうちに、決めておいた」
※こちらも、よくあるご相談をもとにした架空の事例です。
新町のマンションに住むBさん(60代・女性)のお母さま(80代)。
お母さまはお元気でした。でも、近所のお友だちが認知症になり、家族が苦労している姿を見て、ご本人がこう言ったそうです。
「私の家のことは、元気なうちに、あなたに任せておきたい」
そこでBさんとお母さまは、家族信託の契約を結びました。
お母さま=財産を任せる人(委託者)
Bさん=管理を任される人(受託者)
お母さま=家から利益を受ける人(受益者)
契約書に「マンションを売る権限」をはっきり書く
数年後、お母さまは介護が必要になり、施設に入ることに。その頃には、物忘れもかなり進んでいました。
でも、Bさんは慌てませんでした。
受託者であるBさんが、自分の判断でマンションを売ることができたからです。家庭裁判所の許可は要りません。売れたお金は、信託専用の口座で管理し、お母さまの施設の費用にあてています。
※南本の一言
AさんとBさんの違いは、たったひとつ。「動いたタイミング」です。お金でも、運でもありません。
■家族信託が間に合う"期限"はいつか
ここが、今日いちばんお伝えしたいことです。
期限は、カレンダーの日付ではありません。
親御さんが、契約の内容を理解して、自分の言葉で「お願いね」と言えるうち。
これが、家族信託の期限です。
認知症の診断を受けたら、即アウトというわけではありません。でも、進行してからでは、公証人や専門家が「この状態では難しい」と判断することがあります。そうなったら、もう契約はできません。
次のサインが出てきたら、黄色信号です。
同じ話を何度もくり返すようになった
通帳や印鑑をなくすことが増えた
公共料金の支払いを忘れるようになった
怪しい電話や訪問販売に、心が動きやすくなった
家の話をすると、話がかみ合わなくなってきた
ひとつでも当てはまったら、今が動くときです。
■今日からできる3つの準備
①親子で「家をどうしたいか」を話す売りたいのか、残したいのか、貸したいのか。答えは家族ごとに違います。まずは親御さんの気持ちを聞くことからです。
②兄弟姉妹にも話を通すひとりで進めると、後から「聞いていない」となります。家族会議は、1回で十分です。
③専門家に一度相談する家族信託がいいのか、遺言がいいのか、任意後見を組み合わせるのか。ご家族によって正解は違います。
※税金の落とし穴も、ひとつだけ
家族信託をした実家を売るとき、気をつけたいのが税金の特例です。
親が亡くなって信託が終わり、子が実家を受け取ってから売る場合、いわゆる「空き家の3,000万円控除」は使えない、という見解を東京国税局が示しています(令和4年12月20日の文書回答)。
一方、親御さんが生きているうちに売る場合は、要件を満たせば、マイホームを売ったときの特例が使えるとされています。
「いつ売るか」で、手元に残るお金が大きく変わる。ここは必ず、税理士さんに確認してください。
「成年後見が使いやすくなるなら、大丈夫では?」
2026年6月、成年後見制度を見直す改正民法が成立しました。必要な支援だけを選べて、途中でやめることもできる仕組みに変わります。施行は、遅くとも2028年12月までです。
これは前進です。でも、家庭裁判所が関わる制度であることに変わりはありません。
「親の意思で、親が元気なうちに、家の行き先を決めておく」。これは、家族信託や遺言といった、元気なうちの準備でしかできないことです。
■最後に!浦安の家を、家族の手で守るために
浦安の家には、家族の歴史が詰まっています。その家を、最後まで家族の手で守れるかどうか。それを決めるのは、親御さんがお元気な「今」です。相続や終活は、「知識」があれば怖くありません。そして、知識は、動いてはじめて力になります。
人生100年時代。浦安で、親御さんも、ご自身も、前向きに、はつらつと過ごしていくために。
まずは今夜、親御さんに電話を一本。「実家のこと、ちょっと話さない?」
そのひと言が、家族を守る第一歩です。
「うちの場合はどうなんだろう?」と思われた方は、どうぞお気軽にご相談ください。浦安の皆さまの「今」に、全力で向き合います。
浦安くらしサポート株式会社 代表取締役 南本 静志 (社会保険労務士・中小企業診断士・相続診断士・FP2級・宅地建物取引士)
【お問い合わせ】[090-1265-0006 boss@neko-smile.jp 南本まで]
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参考にした情報
※本記事は2026年10月時点の一般的な情報です。事例は、よくあるご相談をもとにした架空のものです。実際の手続きや税金の扱いは、ご家族の状況によって異なります。具体的な判断は、司法書士・弁護士・税理士などの専門家にご確認ください。
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