「やらなきゃよかった」家族信託で後悔した人の共通点9つ
2026年10月21日 10:21
浦安の皆さま、こんにちは。浦安くらしサポートの南本です。
最近、相談会でこんな声をよく聞きます。
「テレビで見たんですけど、家族信託って、やっておけば安心なんですよね?」
はい、とても良い仕組みです。でも、ここは正直にお話しします。
家族信託は
「やれば安心」ではなく、
「正しくやれば安心」な仕組みです。
実際、「やらなきゃよかった」「こんなはずじゃなかった」と後悔する方もいらっしゃいます。そして、後悔する方には、だいたい共通点があるんです。
今日は、専門用語はできるだけ使わずに、その「共通点9つ」を一緒に見ていきましょう。
まず30秒で、家族信託のおさらい
家族信託をひと言でいうと、「元気なうちに、財産の管理を信頼できる家族に任せておく契約」です。
役割
誰のこと?
たとえば
委託者(いたくしゃ) 財産を任せる人 お父さん
受託者(じゅたくしゃ)任されて管理する人 長男
受益者(じゅえきしゃ)財産から利益を受ける人 お父さん(ご本人)
「預ける人」「管理する人」「使う人」。この3つだけ覚えておけば大丈夫です。
後悔した人の共通点9つ
① 「まだ大丈夫」と思っているうちに、間に合わなくなった
家族信託は「契約」です。親御さんご本人に「わかって、決める力」が残っているうちでないと結べません。
■南本のひと言
家族信託は「認知症になったら使う制度」ではなく、「認知症になる前にしか作れない制度」です。
② 「何でも信託できる」と思っていた!
年金や農地は、原則として信託できません。信託できない部分は、任意後見など別の仕組みで補うのが一般的です。
③ 思わぬ税金で「損をした」
信託したアパートが修繕で赤字になっても、信託していない他の収入の黒字と相殺(損益通算)できません。空き家の3,000万円控除が使えなくなるケースも指摘されています。
■南本のひと言 「税金が安くなると思ってやったのに、逆に高くなった」。契約前に税理士さんにひと声かければ、防げた後悔です。
④ 気づいたら、信託が「勝手に終わって」いた
受託者と受益者が同じ1人になった状態が1年続くと、信託は終わります(「1年ルール」、信託法163条)。「終わったあと、どうするか」まで決めておくのが、設計のキモです。
⑤ ネットのひな形で、自分たちで契約書を作った
書き漏れ1つで、口座が作れない、家を売る権限が足りない、ということが起こります。「節約したつもりが、やり直しで倍かかった」は典型的な後悔です。
⑥ 銀行で「専用口座」が作れなかった
信託専用の「信託口口座」は、ゆうちょ銀行や多くのメガバンクでは開設できません(2026年8月時点)。
■南本のひと言 契約書を作る「前」に、使いたい銀行に相談する。
これだけで、後悔の多くは防げます。
⑦ 兄弟姉妹に話さずに進めて、関係がこじれた
法律上は、親と受託者の2人だけでも契約できます。でも後から知った兄弟は「独り占めするつもりだ」と感じるかもしれません。
■南本のひと言 法律上「できる」ことと、家族として「やるべき」ことは違います。家族会議を1回開くだけで、何年分ものモヤモヤが防げます。
⑧ 任された子どもが、疲れ果ててしまった
財産を分けて管理し、帳簿をつけ、報告する。何年も続くと大変です。受託者が先に病気になることも。予備の受託者を決めておくと安心です。
⑨ 「遺留分」を甘く見ていた
遺留分とは、法律で守られている相続人の最低限の取り分のことです。
東京地裁の平成30年9月12日の判決では、遺留分を事実上なくすような信託の設計について、一部が無効と判断されました。
■南本のひと言 家族信託は「遺留分を逃れる裏ワザ」ではありません。家族みんなが納得できる形で使ってこそ、本当の安心につながります。
ひと目でわかる!後悔チェックリスト
チェック項目
共通点
□親がまだ元気で、自分の意思をはっきり伝えられる
□年金・農地など、信託できない財産の扱いを決めた
□税金の専門家に一度相談した
□信託が終わったあとの財産の行き先まで決めた
□家族信託に詳しい専門家に契約書を作ってもらう
□信託口口座を作れる銀行を、契約前に確認した
□兄弟姉妹にも話をした
□予備の受託者を決めた
□ほかの相続人の遺留分に配慮した
チェックが7つ以上なら、かなり準備ができている状態です。
少なかった方も大丈夫。気づいた今が、いちばん早いスタートです。
おわりに
「知識」は、家族を守るいちばんの武器です。
後悔した方の多くは、「家族信託が悪かった」のではありません。
「知らなかった」「急いでしまった」。ただそれだけなんです。
相続や終活は、「知識」があれば決して怖くありません。
人生100年時代。親御さんにも、ご自身にも、前向きで、はつらつとした毎日を過ごしていただくために。まずは今日のチェックリストを、ご家族で眺めてみるところから始めてみませんか。
浦安くらしサポート株式会社 代表取締役 南本 静志 (社会保険労務士・中小企業診断士・相続診断士・FP2級・宅地建物取引士)
【お問い合わせ】[090-1265-0006 boss@neko-smile.jp 南本まで]
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